「JACK=ON=THE=FIDDLE」のベーシスト『鬼束 悠』さんに使用機材や音作り、プレイスタイルについてインタビューさせていただきました!

ベース編
メインで使用しているFender Japan JB75について

これは高校3年生の時に1番最初に購入したベースです。
元々はナチュラルボディの見た目で好みだったので直感で選びました。
以前までアクティブタイプのベースを使用していたのですが、パッシブタイプのジャズベースでどこまで鳴らせれるか見直すタイミングがあり、改めてピックアップのバランス・弾く位置・ピッキングビュアンスなどの精度を高めようとしていました。
その時に後輩が趣味でリフィニッシュをしていたので、リフィニッシュをしてもらい使用してみると、低音がタイトで良い個体だったのでメインで使用する事になりました。
プレイヤーとして磨いてくれるジャズベースで、エフェクターや新しいベースは自信のスキルが向上してからだなと改めて思いましたね。
JB75のカスタム

元はナチュラルボディでしたが、赤色にしたいと良いと思っていた時に後輩が「リフィニッシュか何かやりましょうよ」と話をくれたので、僕が好きなアメリカン・ショウスター(アメ車をモチーフにしたギター)のペイントをお願いしました。
あとはピックアップのカバーが白くなったぐらいです。
JB75のシェイプ
シェイプに関しましても、アメリカン・ショウスターのシェイプに寄せたかったのでカッタウェイを削っていますが、削りすぎるとプレイアビリティに影響が出るので、ギリギリ膝に置けるぐらいにカッタウェイを残しています。
これに関しましては完全にデザインの都合で削りましたね。笑
JB75のツマミ
ツマミはボリューム(フロント)・ボリューム(リア)・トーンの3つで基本的にフルテンで使用しています。
曲の種類によって少しリアのボリュームを絞り、少し丸い低音域が強調された音で弾いたり、曲のパートによってトーンを少し絞って弾いています。
JB75の使用弦

D’Addarioの45-105を使用しています。
4弦を鳴らした時に1番しっくりくるのが105だった事と、45にしているのはスラップでプルをした時の音が1番しっくりくるので45-105を使用しています。
弦の交換頻度は基本的に3ヶ月に1度で長い時は半年ぐらい交換しないです。
音作り自体を弦の状態に合わせて行うのでサスティンに問題があるとか、どうしてもハイの帯域が出ない限りはあまり問題視していません。
レコーディングの時に合わせて2週間前に交換する時もありますし、主催イベント等で1番サウンドを作りやすい状態にしたい時も交換します。
サブで使用しているFender American Deluxe Dimension Bassについて

このモデルを使用する前にMUSICMANのStingRayを使用していたのですが、StingRayはリアが1発で、もう少し音の広がりが欲しいと思ったので、StingRayに近しくハムバッカーが2つ搭載されているベースを探していた時に、Fernderから新しく発売されたDimension Bassを購入しました。
StingRay独特のジャリっとしたイメージはDimension Bassにはなく、プレジションベース寄りなサウンドです。
当時はあまり人と同じものを使いたくないなと思っていましたし、試奏して音も気に入ったので、欲しい色を取り寄せて購入しましたね。
Dimension Bassのツマミ
ツマミはボリューム・ロー・ミッド・ハイとなっており、ボリュームはフル、他はフラットで状況に応じて足したり削ったりしています。
Dimension Bassのピックアップセレクター
ピックアップセレクターは5WAYです。
ベーシックなフロントのみ・リアのみと、センターはフロント・リアの両方が鳴ります。 それに加えてフロント・リアの外側2つと、フロント・リアの内側2つの計5つ音色を使い分ける事ができます。
音がガラッと変わるので、ほぼセンターでフロント・リアの2発を鳴らしています。
遊ぶ時はリアにしてジャズベースのリアのような音を出したり、フロントにしてプレジションベースのような音を出しています。
Dimension Bassの使用弦
メーカーはD’AddarioかSITでゲージはメインと同じく45-105です。
JB75とDimension Bassの使い分けについて
Dimension Bassは、一応サブとして置いてはいますが、JB75をメインに使用するようになってからは全然使用していませんね。
JACK=ON=THE=FIDDLEを始めた時は、Dimension Bassを使用していましたが、よりルーツ寄りな曲も増えてきたので、パッシブでタイトな音が出る方が扱いやすいかなということで、今はJB75をメインに使用しています。
JB75が何かしらのトラブルで使用できなくなった時にDimension Bassを使用しようかなと思っています。
”鬼束 悠”がベースに対して求めているもの
やっぱり見た目ですね!
圧倒的に良い音・安価・人気があるものでも、見た目が気に入らなかったら絶対に使用しないです。笑
それは演奏する自分にとっても、モチベーションに関わりますし、テンションが上がらないんです。
楽器を集めるのは好きで、ジャパンビンテージの珍しいバイオリンベースとかも集めたりしているので、やっぱり見た目が先行でそこから音が気に入れば使用していますね。

エフェクター編

接続順
ベース→DT-10→M80 bass d.i.+→One Control Hooker's Green Bass Machine。
エフェクターボードのコンセプトとしては、可能な限りミニマムで利便性のあるボードです。
パッシブのジャズベースを使用している理由と同じで、いかに限られた機材と自身のスキルで対応できるのかまだ挑戦する段階だと思っています。
各エフェクター解説
KORG DT-10

KORGのDT-10はおそらく10年程使用しています。
視認性も良くて慣れていますし、特に困ってもいないのでずっとこのモデルを使用しています。
MXR bass d.i.+

bass d.i.+は、プリアンプとして使用しています。
安価だったという点と、有名で扱いやすいという点で導入しました。
ラインの音を微調整するために使用しているので、基本的にONのままで、ディストーションチャンネルは使用しないです。
カラースイッチも押さず、イコライザーは基本的にフラットに近いセッティングで、ボリュームもほぼフラットです。
また、弦の状態に合わせてベース・ミドル・トレブルを微調整しています。
新品の弦を張っている時は、ベースとミドルは12時で、トレブルだけ12時から10時まで下げています。
One Control Hooker's Green Bass Machine

One Controlのベース用オーバードライブです。
「日々の行進」という曲があるのですが、この曲のギターソロはツインリードなんです。
その後ろで鳴っている音にパンチが欲しいということで使用することにしました。
ローが損なわれないタイプの歪みとレビューが書かれていたので、そのままネットで購入しました。笑
ツマミはトレブル・ドライブ・ボリュームで、ボリュームは時によって微調整し、ドライブは3時まで上げています。
トレブルはその時の響き方によって微調整しており、あまり音が聞こえないと思ったらトレブルを上げますね。
音が抜けるというより、ジャリっとした音が出ます!
FIREGLOW PPS-05

うちのギターボーカルが使用していたのでこれを導入しました。笑
元々、チューナーとプリアンプのみなセッティングで普通のアダプターを使用していたのですが、歪みを導入することになりましたので、パワーサプライも良いものを選ぼうと思い導入しました。
”鬼束 悠”にとってエフェクターとは?
エフェクターは、様々な楽曲を再現する1つの手段と思っており、楽曲にこのエフェクトが欲しいと思ったら導入しますね。
例えば、オートワウが必要な曲があればオートワウを導入しますし、どうしてもオクターバーが必要と言われたら オクターバーを導入します。
楽曲に合わせてエフェクターが増えていく可能性もありますし、逆に楽曲にエフェクトが必要なければ導入しないです。

シールド編
シールド・パッチケーブルついて

ナチュラルに音が出せる1番オーソドックスなBELDENに、SWITCHCRAFTのプラグを組み合わせて使用してい ます。
以前はMONSTER CABLEを使用していたのですが、MONSTER CABLEはブーミーになる傾向があるので、オーソドックスなケーブルに交換しようと思い、BELDENを発注しました。
BELDENに交換することにより、全体的にスッキリした音になりました。
パッチケーブルも同じものを使用しています。
アンプ編
アンプのセッティングについて
常設機材のアンプを使用しており、基本的にイコライザーはフラットから始めます。
ゲインとボリュームで音色を決めていくのですが、箱の大きさによってまずゲインの量を決めます。
気持ち良い音が出せる最低限のゲインを探し、そこからどこまでゲインを上げても大丈夫なのか振り幅を探します。
そこからゲインを上げてボリュームを下げるのか、ゲインを下げたままボリュームを上げるのか、その時のアンプ からの出音・ドラムの音・ギターボーカルのMarshallの音を聴いて、「この音だと少し邪魔をしてしまうな」と思うと再度微調整したり、その場その場で音作りしています。
基本的にアンプでは音色を弄るというより、ロー感を足すのか足さないのか、ボリュームを上げるのか上げないの かぐらいです。
MXRのbass d.i.+でラインの音を決定しているので、アンプから出る音とラインで送る音は別物と捉えています。

音作り・プレイスタイル編
プレイスタイルついて
基本的には指弾きで2フィンガー・スラップ奏法で演奏していますが、3連を弾く時だけ出したいノリが出るので3フィンガーで演奏します。
ピック弾きでレコーディングした曲もありますが、その時はピック弾きのニュアンスが欲しかったのでピック弾きで演奏しました。
フレージングについて
バンドの曲で1番聴かせたいものがパート毎にあると思うので、それに合わせて自分の位置づけを決めています。
歌は全員が聴きたいものなので、基本的にそこは邪魔せず、表現したいものによってそれを持ち上げるのか、下の方で干渉せず支えるのかを意識していますね。
曲によってルート弾きに徹することもありますし、めちゃくちゃフレーズを動かすような時もあります。
全員がこの符割りで演奏しているから自分はもう1段階広い符割りで弾いたり、全員で同じリズムで演奏せず、「歌が細かいのならリズム隊は広く弾こう!」ということを意識していますね。
現場での微調整
外音はラインの段階ではローを出しすぎずタイトな音にしています。
中音では自分が気持ち良く演奏できるくらいにローを出して、ラインとマイクの音の混ぜ方はその箱のPAさんにお任せしています。
リハで中音が決定したらPAさんに外のローの感じを確認して、足した方が良い場合は中で上げず外で足して貰います。
理想の音作り
今の僕はJACK=ON=THE=FIDDLEの楽曲を表現する上で必要なことをやるということですね。
それを突き詰めていけば、自分らしいベースフレーズ・音にも繋がりますし、派手なこともできない訳ではないですが、それより曲を表現するということに重きを置いています。
最近ようやく「らしい感じになってきたな、お前しか弾かれへん部分が出てきてるんちゃう?」と言われたりとかもありますね。笑

音楽性・ルーツ編
影響を受けた音楽
ロックバンドとして1番影響を受けたのはRed Hot Chili Peppersです。
Red Hot Chili Peppersは好きでコピーしていましたが、演奏面で影響を受けたベーシストはあまりいないですね。
様々なベーシストの方から良いところを学んで昇華しているので、あまりベーシストにこだわって音楽は聴いていないです。
あと、ワールドミュージックを聞いたりもします。
曲を聞いたとき「ここ草原みたいだな」「なにこの宇宙感ある音!?」とか、風景が浮かぶ音楽がめちゃくちゃ好きなんです。
そういう面でサウンドトラックも好きですし、影響を受けてフレーズになることもあります。
今作っている新曲も突然アウトロだけ別世界に行くようなフレーズだったりします。笑
音楽で生きていく
バンドを始めたのが、今のギターボーカルから前身バンドに誘われた時で、その時からアメリカのルーツや、ブルース・サザンロック等のルーツミュージックを取り入れながら楽曲を作る決まっていたので、それなら面白いと思い「やってみよう、挑戦してみよう」と思ったのがきっかけですね。
そこから今のJACK=ON=THE=FIDDLEに至るという感じです!
ベーシスト”鬼束 悠”のこれから
バンドにソングライターが持ってきた曲を全員で編曲するのですが、生かすも殺すもアレンジ次第なところもあるんです。
例えば「こんな音階・こんな符割りが欲しいな」と思うときはあまりベースで考えず、バンド全体で「誰がこれを やれば良いかな」と考えることが多いので、「ベーシストとして」ということに囚われず、アーティストとしてア レンジ能力を磨いていきたいです。
ベーシストとしてはもちろん上手くなりたいですし、カッコ良くもありたいですね!
以上インタビュー。
限られた機材でシンプルなセッティングで音作りを行い、自身のスキルで対応し、挑戦を続けている”鬼束 悠”さん。
そこには、JACK=ON=THE=FIDDLEの楽曲1つ1つと向き合い、いかに良くオーディエンスに聴かせることができるのかという”鬼束 悠”さんの楽曲に対する深いこだわりがありました。
現在もレコーディング活動を行なっており、これからのJACK=ON=THE=FIDDLEの活躍にも目が離せません!

-Profile-
鬼束 悠
Birth:4/3
Respect:Red Hot Chili Peppers
高校3年生の時にベースを購入し大学に入学後、勢力的にバンド活動を行い様々なバンドで経験を積む。
2017年にJACK=ON=THE=FIDDLEを結成し、ベースを担当している。
JACK=ON=THE=FIDDLE

2017年始動
サザンロック、カントリー、ブルース等「古き良きアメリカ音楽」を日本人に伝える為、 メンバー4人それぞれの解釈を加え「現代の音楽」として「今」のリスナーに向け発信する。
BIGUP!主催GIANT LEAP 優秀アーティスト「2nd GIANT LEAP PRIZE」選出 FM802「RADIO∞INFINITY」出演
Eggs presents「FM802 MINAMI WHEEL 2018」出演
主催MINAMI WHEEL EDITIONイベント「MORE WHEEL」TICKET SOLD OUT
2019/6/27 南堀江SOCORE FACTORY 単独公演「ONE=MAN=SHOW!!」開催