iTucaのベーシスト「前芝早希 」さんに使用機材や音作り、プレイスタイルについてインタビューさせていただきました!

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
ベース編
SYSTEM CRAFT Sound Trade 4string Bassについて

SYSTEM CRAFTという大阪のベース工房のSOUND TRADEシリーズというベースです。
10年程前に「抜けが良すぎる・他には代えがたい出音」に惚れ、先輩に借りたベースをそのまま使用しています。笑
SOUND TRADEシリーズには、B・C・Dの3タイプのベースがあり、元々借り物だったため、どのタイプかの確認はできていませんが私が思うに、最&高のやつです。笑
“ベース正面にポジションマークがない"
何故かそんな見た目にも惚れ、初めは不慣れでしたが今や意気投合です。

SYSTEM CRAFT Sound Trade 4string Bassのピックアップ
ピックアップはSound Tradeの純正のものを使用しています。
SYSTEM CRAFT Sound Trade 4string Bassのツマミ
主にボリュームのツマミを楽曲のダイナミクスに合わせて調整しています。
ピックアップバランサーは、センターにしています。
下2つのツマミはわからないんです。笑
SYSTEM CRAFT Sound Trade 4string Bassのカスタム
ピックアップやブリッジなどの大きく音に関わるパーツは交換していません。
ペグは、ライブ中に天井にぶつけて破損したことで交換しています。
もう1本持っている同じメーカーのベースのペグから自分で交換したので色が違い、ペグを回す方向も違います。
ペグを回す方向が違う理由は、交換元のベースの特性です。
それを勝手に合体したので、なんだか怒られそうです。笑
平均的に特にネックの反りなど気になる事もなくチューニングやオクターブチューニングなどの不満も無いので流石です。
私自身、ピック弾きがメインなのでピックアップ横の指置きは外しています。
SYSTEM CRAFT Sound Trade 4string Bassのサウンド
このベースを使用して10年程になりますが、飽きない音ですね。
冒頭にお伝えした通り「抜けが良すぎる・他には代えがたい出音」
例えるなら「スッピンで美人」です。
ベースへのこだわり
音楽関係者でもない限り、ピンポイントで「ベースの音を聴く」人は居ないと思っています。笑
ライブの振動などで「感じる」人が殆どだと思います。
ですが、私がベースを始めたのは「この音、何!?」と思う、ベースラインがキッカケだったので、中には「聴いている人も居る」と信じ、さり気ない中にも彩るベースラインを大切にしています。

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
使用弦について

Elixirの45-105を使用しています。
本当は50-110のゲージを使用したいと思っていますが、あまり市販されていないんです。
他とメーカーの弦と比べ、圧倒的に寿命の長いElixirを使用しています。
弦の交換頻度
私の感覚ですが、弦が死ぬと弾きたくなくなってしまうんです。笑
生音でも分かりますし、アンプに接続すると特に分かりやすいですね。
音作りをする上で弦が死んでいるとEQで突いても欲しい音域が出ないんです。
期間的にはライブ本数にもよりますが、2ヶ月に1回は交換しています。
エフェクター編

接続順
ベース → MXR → アンプ
MXRのパラレルアウトプットからBOSSのチューナーを接続しています。
各エフェクターについて
BOSS TU-3

以前は、KORGのDT-10を使用していましたが、廃盤になったタイミングで壊れてしまったため、ボーカルが使用していたBOSSのTU-3を使用しています。
BOSS TU-3の良さ
基本的にライブ中は裸足なんですけど、、、
BOSSのチューナーって裸足で踏みやすいんですよね。笑
チューナーの接続
チューナーは、MXRのパラレルアウトプットに接続しています。
シンプルな足元なので尚更、チューナー1つの音痩せには特に気をつけています。
パラレルアウトプットに接続しているため、チューニングを行う場合はアンプのミュートスイッチを使用し、音が出ないようにしてチューニングを行なっています。
ライブハウス常設のアンプを使用しているため、ミュートが付いていない場合は手元でボリュームを絞ってチューニングしています。
MXR M80 Bass D.I.+

MXRは、音作りの核になるエフェクターです。
基本的に左のスイッチを常時ONして使用しています。
MXR M80 Bass D.I.+のセッティング
音作りの核となるエフェクターですが、このMXRでの音作りをしているわけではなく、基本的には、ベース+アンプでの音作りをメインにして、MXRで足りない音域を足しているイメージです。
MXR M80 Bass D.I.+のゲートスイッチ
ゲートスイッチは常にONにしています。
ツマミのトリガーをMAXにしてゲートをONにすることでノイズを軽減してくるので重宝しています。
エフェクターと音作り
昔は、足元にはセンドから繋いだチューナーのみでしたが、名古屋の先輩バンドからSANSAMPを頂いたことを機に音作りにエフェクターを導入するようになりました。
音作りにエフェクターを導入してから音作りが格段に変わりました。
エフェクターを導入する前は、どうしてもギター2本の音作りに対して、アンプのみのサウンドだと存在感がなくなり、裏で何を弾いてるか分からない程でしたが、エフェクターを導入してからは、ギター2本に被らない音域の音を作ってくれることでベースラインを活かす気持ちの良いサウンドになりました。
エフェクターに求めているもの
使用しているベースを「スッピンで美人」と例えましたが、エフェクターは「お化粧」です。
欲しい音域を足す。
お化粧をする事でより一層、バンドサウンドに彩りを加えてくれます。

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
アンプ編
使用しているアンプについて

自分のアンプを所持していないので、ライブハウスに常備されているアンプを使用しています。
アンプの基本セッティング
常備のアンプを使用していることもあり、各場所によってアンプの種類や環境が違うのでセッティングは変わりますが、基本的にEQを一旦フラットに設定します。
フラットにしたEQから少しづつ削って音作りをすることが多いです。
もちろん、削るだけではなく足すこともありますが、余程じゃない限り足すことはしません。
アンプのEQセッティング
基本的に150Hz 250Hzの辺りと2kHz辺りを主に調節しています。
150Hz・250Hz・2kHzは、ベースの本来の音の中でもクセが強く、アンプとの兼ね合いが難しい音域のため、その3つの音域は特に調整しています。
アンプの歪み量
アンプのゲインはピッキングニュアンスに合わせて歪むほどにしています。
やっぱり上げすぎても音が膨れてしまったり、細かいニュアンスが出しにくくなるため、基本的に少なめにしています。
エフェクターとアンプの音作り
足元のMXRはライブ中、常にONにしていますがMXRの役割がアンプとベースの音の足りない要素を補うという役割なので、現場での音作りを行う際は、MXRをOFFにしてベースとアンプでの音作りを行います。
アンプに求めるもの
最も意識しているのは「音作りのしやすさ」です。
やっぱり自分のアンプではないので、現場・環境・個体差によって大きく変わってしまいますが、様々な状況でもベース本来のサウンドを生かしてくれて、バンドサウンドにあったサウンド・ボーカルが歌いやすいサウンドを出すことができることです。

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
ケーブル編
ケーブルについて

メインのケーブルはBELDEN8412を使用しています。
バンド始めたての時に先輩に勧められて使用するようになり、それから今まで、このシールド込みでの音作りをするようになりました。
他のケーブルも試したことはありますが、音が薄くなる感覚があり、やっぱり8412の音が一番しっくりきました。
パッチケーブルについて

パッチケーブルはProvidenceのケーブルを使用しています。
パッチケーブルは良いものを使いたいと思い、購入しました。笑
MXRのパラレルアウトからチューナーの間で使用しているので、音には関係ないと思うんですけどね。笑
マイク編
SHURE BETA57Aの導入について

当時、お世話になっていたライブハウスのPAさんに「声質的に57Aにしてみたら?」と言われ、このマイクを導入しました。
ライブハウス常設のSHURE SM58を使用していた時と比べ、声がクリアになったことで抜けも良くなりましたね。
周音声がSM58よりも狭くなっているため、歌う時にはマイクへの角度など意識して使用しています。笑
音作り・プレイスタイル編
プレイスタイルについて
楽曲のダイナミクスに合わせて、ピックと指を使い分けています。
基本的にはピック弾きですが、レコーディングやライブでシチュエーションに合わせて指で演奏することもあります。
指弾きでのプレイ
主に指弾きで演奏する時は、ボリュームと組み合わせています。 ピック弾きには出せない丸い音が必要な時やクリーンな楽曲などで指弾きを行います。
親指と人差し指のみです。
使用ピックについて

DUNLOPの0.73を使用しています。
以前までは厚めのピックを使用していましたが、ステージングの際にピッキングのアタックの「パチッ」とした音が気になり、今では薄めの0.73mmのものを使用しています。
今ではアタックの際のピッキングニュアンスを手首で調整しますが、当時はできなくて…笑
ピッキングニュアンスについて
手元のピッキングニュアンスは意識しています。
案外、ベーシストのピッキングニュアンスをわかってくれる人が少ないですが、バンドサウンドにおけるベースラインのピッキングニュアンスは重要だと思っています。

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
目指している音について
ボーカルの声がライブハウスの壁突き破るほど飛ぶ様なサウンドを目指しています。
ボーカルはベースよく聴いているので「歌いやすい」と言われたらめちゃくちゃ嬉しいです。
その中でルートやフレーズのベースラインも生かす音を目指しています。
各現場での調整
基本的にどんなシチュエーションでもアンプ・ベースの2つで主な音作りを行い、エフェクターで微調整をしていますが、どんな環境であってもバンドの持っているサウンドを壊さないように常に意識して調整しています。
中音へのこだわり
常に中音は意識しています。
お客さんが聴く音は外音ですが、中音をしっかり作り込むことで自分達のライブのテンション感を上げることができるので中音も大切にしています。
うちのバンドって中音がかなり大きい方だと思います。
ステージ袖で観てくれるバンドマンやPAさんにも「中音でか!笑」と、よく言われます。笑
それができるのも声量オバケボーカルと音量ダイナミックドラマーが居るからです。
テンション上げてくれて感謝ですね!

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
音楽性・ルーツ編
ベースとの出会い
初めてベースに興味を持ったのが、小学生の頃にテレビでやっていた「アニメシャワー」のOPのACIDMANの「赤橙」を聴き、「この動いてる音は何!?」となったことがベースとの出会いでした。
その時に聴いた「ACIDMAN」に影響を受け、高校からベースを始めました。
音作りの壁
ベースを始めた頃は、自分の好きな音ばっか作って演奏していましたが、経験して行くにつれてバンドサウンドを意識し、改めて音作りの難しさを知りました。
バンドで生きていく
「好きな事を仕事にしないと嫌」と物心がついた時から思っています。笑
そこから、「バンド・作詞作曲・デザイン」などバンドに関わることをするようになりました。
ゆっくりでいいから「好きな事で生きていく」それをゆっくりでいいから叶えていきます。
急いで痛い目を見た事あるので…笑
前芝早希にとってのライブ
私、ライブ中毒でライブしないと病むんですよね。笑
それくらい私にとってライブって特別なもので、普段使わないようなアドレナリンが100%以上出てる感じも快感です。
普段だとあんなに身体動かないですよ。笑
前芝早希にとってのパフォーマンス
なんでパフォーマンスするんですかね。笑
普段は目立つ事をしないシャイな方ですが、「うおお!原始人になりてえええ!」とかステージ上がるとなるんです。笑
なので「どうやってパフォーマンスしてるんですか?」と言う質問には「なりたいものに、なればいい」と答えます。笑
曲が聴きたいだけなら音源で良いと思います。
ですが、せっかく足を運んでまでライブに来てくれているお客さんには、CD以上のものを+αで魅せたいと思っています。
それはメンバーも思ってると思うのでiTucaの強味です。
前芝早希のこれから
パフォーマンス面で人に真似できないような異次元のプレイヤーになりたいと思っています。
「マネできるかあ!笑」って笑えるような。笑
真似された方が親しみ易いと思いますが、それでも異次元の領域に達成するまで今後も自らを磨いていきたいと思っています

撮影 : エモトココロ(@kokoroemoto)
以上、インタビュー
「激しいパフォーマンス」とそれを支える「こだわり」を持つ、前芝早希さん。
ピックやプレイスタイル、エフェクターやベース全てに1つ1つのこだわりがありました。
今回インタビューをさせていただいて、そのこだわりだけではなく前芝さんの「熱いもの」を感じることができたような気がします。
前芝さんのような「生粋のバンドマン」がこれからも音楽シーンを盛り上げてくれることは間違いないでしょう。
本当に楽しみです!

- Profile -
前芝早希
学生時代に「ACIDMAN」と出会い、高校からベースを始める。
ベースの他に作詞作曲やグッズのデザインも行う。
iTucaのBa.Choを務める。

iTuca
神戸発、日本語ロックバンドiTuca
2006年に山本 章(Vo&Gt)、前芝 早希(Ba)を中心に前進バンドを結成。
様々な賞レースでの優勝や、CMタイアップ起用など輝かしい活動の中、
2012年にバンド名を『iTuca』に改名。
その後何度かのメンバーチェンジを乗り越え、
坪田 佳祐(Gt)、竹本 真格(Dr)が加入し盤石の布陣となる。
COMING KOBEやMINAMI WHEELなどの大型フェスやサーキットにも多数出演。
年間100本以上のライブに裏付けられたステージはオーディエンス、共演者問わず、
心震わせ拳を突き上げ涙を流すほど。
一度ライブを体感すると魂を鷲掴みされ「トラウマ級」の感動を刻みつけられ、
iTucaから離れられなくなるだろう。