Halo at 四畳半のギタリスト「齋木孝平 」さんに使用機材や音作り、プレイスタイルについてインタビューさせていただきました!

ライブ写真提供 佐藤 広理
ギター編
Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster Relicについて

Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster Relic -3Color Sunburst(2011年製)
以前は、Fenderのジャズマスターを使用していましたが、Halo at 四畳半の楽曲を演奏していく上で自分のフレージングに、より幅広い音を出せるギターを求めていくようになって来たのを感じ、自分の好きなバンドのギタリストがストラト使用されている方が多かったので、楽器屋で何本も弾き比べてピンと来た、このストラトを選びました。

Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster Relicのカスタム
フロントは、純正で搭載されていたピックアップが高域の成分が多めだったので、音の重心を下寄りにするためにsuhrのピックアップに変更しました。
リアは、Seymour Duncanのシングルサイズのハムバッカーに変更しています。
個人的にシングルコイルのリアの音が好みではなかったので、ハムバッカーにしてライブで使えるようにしようと思い載せ替えました。
シングルサイズのハムバッカーなので、ボディを削らずに自分で手軽に載せ替えられました。
音は太すぎず細すぎず、ライブでとても使いやすいです。
Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster RelicのPU使用用途
主にイントロやギターソロはリアのハムバッカーを使用しています。
その他のフレーズは、フロントのシングルコイルを使用します。
Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster Relicのツマミ操作
ライブでは、基本的にツマミは操作せず、右手のニュアンスでカバーしています。
レコーディングでは、ツマミを操作してクリーントーンでのニュアンスを表現しています。
Fender Custom Shop TBC 1960 Stratocaster Relicへのこだわり
購入時に元々レリック加工されていたギターでしたが、更に自分で加工して自分好みの見た目にしました。
最初、ギターに手を加えた時は、「人工的に作る傷=ズルしてる感覚」があったのと、一度手を加えたら失敗は許されないという恐怖があり、とてもドキドキしました。笑
ですが、一度やり始めるとどんどん手が進み、結果かなり大胆な加工にはなってしまいましたが、とても気に入っています。
購入当時と比べると元々がとても綺麗なギターだなと思うほど別物になりました。笑

使用弦について

Elixir NANO WEB super light(09-42)
Elixir NANO WEB super light(09-42)を使用しています。
コーティング弦なので滑りが良く弾きやすく、弦が長持ちしてくれることは、ありがたいですが少々値が張ります、、、笑
サウンド面では、キラッとした高域が出ることもあり、アンサンブルの中でも埋もれることなく音が抜群に抜けます。
弦へのこだわり
Elixir以外にもBLAST CULTのmagic13という弦も最近試して、とても良かったです。
嫌な高域が抑えられて芯の詰まった音が出てくれるので、ライブで弾いていて気持ちいいです。
ただ、この弦もなかなか値が張り、流通も多くないので、見かけたらたまに使ってみるくらいな感じでメインでは使えなさそうですね、、、
エフェクター編
エフェクターボードのコンセプト

基本的にアンプのクリーンサウンドに歪みを重ね、その後に空間系を置く様にしています。
POG2だけはスイッチャーの最前段に入れていて、エフェクトをかけた音を歪ませるようにしています。
Whammyは同じくピッチシフト系ですが、歪みの後の方が掛かりが良かったことから後ろに入れています。
歪みエフェクターの組み合わせ
歪みエフェクター4種類は全曲で歪みや音量によって使い分けています。
「smoggy」「smoggy+Jan Ray」「smoggy+Jan Ray+ego booster」「smoggy+Jan Ray+burnley+ego booster」と歪みを重ねていき、これらの4種類の音に各空間系を重ねる形で音を作っています。
各種エフェクター解説
Y.O.S ギター工房 smoggy overdrive

スイッチャーの前に接続し、常時ONで使用し、アンプのクリーンな音に少しエッジを出しています。
以前は、この位置にBOSSのBD-2を入れていましたが、アルミ削り出しの見た目の格好良さに惹かれ、YouTubeの試奏動画を見てみたら、自分の欲しかった音にドンピシャで即購入しました。
サウンドメイク
smoggyは常時ONでGAINをあまり上げず、ほぼクリーンサウンドで少し強く弾くと歪むようにしています。
アンプのクリーンよりほんの少し大きめにボリュームに合わせて、TONEでカリッとしたところが少し前に出るように設定しています。
VEMURAM Jan Ray

メインの歪みとして使用しています。
知り合いのギタリストのおすすめで購入しましたが、購入当時は使いこなせず最近まで部屋に眠っていました。
最近になってふと弾いてみたら今のセッティングとハマり、レギュラー入りしています。
分離感と音抜けが良くて、細くならない歪み方が気持ちいいです。
サウンドメイク
Jan Rayは、ボリューム幅が大きいのでボリュームのツマミをあまり上げないようにしています。
下段の2つのツマミがそれぞれローとハイのトーンになっていて、この2つはだいたい12時前後でその日のアンプの具合で調整しています。
Bogner burnley

メインの歪みから、更に深く歪ませるために使用しています。
ディストーションペダルですが、ファズのような歪み方をするので、曲の中でパンチが欲しい時やサスティンを稼ぎたい時、フィードバックやハウリングが欲しいときに使用しています。
サウンドメイク
burnleyは、かなり暴れた音を出したいときに使用しています。
ライブでは、いつもゲインとトーンはフルテンにしています。
ほとんど前にJan Ray、後ろにego boosterを重ねている状態の時に使うので、前後に合わせてボリュームを調整しています。
Smart People Factory ego booster

クリーンブースターとして使用しています。
これも知り合いにおすすめされて購入しました。
中音域を中心に綺麗に全体を持ち上げてくれるので、イントロやギターソロなど前に出したいときに気持ちよく音量が上がってくれるので重宝しています。
サウンドメイク
ego boosterは、ギターソロやイントロなど前に出したいときに使用するので、かなり音量が上がるように設定しています。
左のツマミが独特で、一番左に回すとクリーンブーストになり、カチッと右に回すと左→右にかけて低音域から高音域までブーストしたい箇所のフリーケンシーが選べるモードになる面白いブースターですが、クリーンブーストしか使ったことがありません。笑
Electro Harmonix POG2

オクターバーとして使用しています。
原音・上下1オクターブ・上下2オクターブの5音をそれぞれミックスでき、スローアタックのような機能やデチューン機能も付いています。
バンクも多く、かなり幅広い設定ができるため重宝しています。
サウンドメイク
オクターバーは3種類のプリセットを設定して使用しています。
プリセット① 原音+上下1オクターブのメルヘンチックな音
使用楽曲 「トロイメライ」「フェロウ」
プリセット② 原音+1オクターブ上+2オクターブ上を足してスローアタックを掛けた幻
想的な音
使用楽曲 ライブでの「リバース・デイ」の繋ぎ
プリセット③ 原音+1オクターブ下を足す一般的なオクターバー
使用楽曲 「箒星について」
DegiTech Whammy(第5世代)

当時、作っていた曲でワーミーが必須なフレーズが出来上がったこともあり購入しました。
オクターバーにはPOG2がいるので、和音を加えるピッチシフトには使用せず、単音のシフトかコーラス的にデチューンを使用しています。
サウンドメイク
Whammyは「クレイマンズ・ロア」で初めて導入しました。
それまでPOG2で代用していた「天文薄明の街へ」のサビ中のフレーズに使用するくらいで、あまり登場機会が多くありませんでしたが、デチューン機能を「綻びの果て」でコーラス的に使っていたり、ライブ中の繋ぎや、攻撃的な表現をしたいときに1オクターブ上のピッチシフトを使っています。
strymon TimeLine

最初に良いなと思ったのは、ディレイ音にオクターブ上などの音がかかる「Ice」というモードがあり、その音を当時作っていた曲のフレーズに使いたいと思い購入しました。
ディレイですが、ラジオボイスっぽくしたりトレモロっぽくしたり、多様な使い方ができて原音も損わない優秀なディレイだと思っています。
サウンドメイク
TimeLineは普通のディレイの他に、Lo-fiモードでミックスを最大、ディレイタイムとフィードバックを最小にすることで、原音をラジオボイスっぽくした音を「天文薄明の街へ」や「発明家として」で使用しています。
「リビングデッド・スイマー」ではディレイ音のリズムパターンを調整して使用し、「点描者たち」ではPOG2のスローアタックにIceモードとBigSkyを重ねることで独特な音を使用したりなど、これ一台で色々な音に使っています。
strymon BigSky

TimeLineを導入した後に購入しましたが、これも音が良くセッティングの幅もかなり広いです。TimeLineを使用していたこともあり、折角ならstrymonで揃えたいなと思い、このBigSkyを購入しました。
サウンドメイク
BigSkyはセッティングの幅が広く、様々なフレーズで使用しています。
その中で「点描者たち」ではTimeLine・POG2を組み合わせて使用しています。
Free the Tone ARC-3

だんだん足元のペダルが増えてきた頃にライブ中の踏み替えが間に合わなくなり、スイッチャーを導入することにしました。
曲ごとにバンクを設定していますが、プリセットが足りなくなりEFS-4を導入しました。
TimeLine・BigSkyは、ARC-3からmidiでコントロールしています。
今となっては、スイッチングシステムがないとライブができないくらい必需品です。
エフェクターへのこだわり
昔から歪みペダルに歪みペダルを重ね、新しい音を作るのが好きで、深い歪みを作るときは1つのペダルだけで鳴らすと物足りないと感じ、ペダルを重ねていくスタイルになりました。
1つの音色に最大7つのペダルを同時に使っていたりもします。
足元のエフェクターの組み合わせにより、その何倍もの音色を作れるので、それぞれのペダルが持つキャラクターを考えて、組み合わせてできた化学反応に曲のインスピレーションを受けることも多々あるので、直感的に色々なセッティングや様々な組み合わせで試す様にしています。

ライブ写真提供 佐藤 広理
シールド編
SOMMER CABLE SPIRIT XXLについて

シールドは、ギター~エフェクターボードの間に特に重点を置き、SOMMER CABLEのSPIRIT XXLを使用しています。
とてもクリアで滑らかな音で、高域のロスが少なく、かつ耳につく嫌な高音域が出てこないので、ライブでもレコーディングでも重宝しています。
アンプ編
divided by 13 LDW 17/39について

昔、対バンしたバンドがdivided by 13の別モデルを使用していて、このアンプの存在を知りました。
その時に聴いた音がとても好みな音で、見た目の格好良さにも惚れてこのアンプが欲しいと思い、購入しました。
divided by 13 LDW 17/39のサウンド

素直で真っ直ぐなキラッとした音を出してくれるアンプです。
音の立ち上がりも早く、右手の感覚をダイレクトに変換してくれる感覚があります。
その分、ミスもわかりやすく聴こえてしまい、扱いが難しいところがあります。
divided by 13 LDW 17/39のセッティング

その日の調子や場所によって微調整はありますが、基本的な音作りは、BASS13時、MIDDLE14時、HIGH12時、MASTER10時、VOLUME10時くらいに設定しています。
divided by 13 LDW 17/39での音作り
MIDDLEの効きにクセがあり、ローミッドからハイまでが変化するので、MIDDLEのツマミの調整が一番大きな割合を占めています。
BASS、HIGHは、それぞれローエンドとハイエンドのレンジ感を調整しているイメージです。
アンプはクリーンで使用しているので、歪み量を調整するVOLUMEは歪まずに音が立体的になっていくところまで上げ、全体の音量をMASTERで調整しています。
divided by 13 LDW 17/39へのこだわり
「音抜け」「音の立ちあがり」「真っ直ぐでキラッとしたサウンド」が、今の自分の音を作り出す上で必要不可欠な存在です。
アンプへのこだわり
アンプは常にクリーンで足元で完結させるスタンスなので、その1番の基本であるアンプはとても大切だと思っていて、素直で綺麗な音を出してくれるアンプを選びたいと思っています。
その反面、アンプで歪ませたりするのも憧れる部分があったりするので、いろんなアンプを使ってみたいとも思っています。
音作り編
プレイスタイル・演奏へのこだわり
楽曲の色味や情景を描きつつ、「歌を引き立たせながら、歌に負けないギター」が昔から
好きで、絵に色を付けるような感覚でフレーズを作っています。
その点において、ピッキングのニュアンスは曲の場面を作る中で濃淡や動静を描くための重要な手段だと思っています。

齋木孝平の理想の音
理想の音を突き詰めて考えると難しく感じますね。
ギターという楽器は、今にも壊れてしまいそうな繊細な音~泥臭く暴れた音まで多種多様無限の音色が出せる楽器なので、個人的には「この音が理想!」というよりも、楽曲のその場その場のフレーズに命を与えられる音が理想で、曲の数、フレーズの数だけ理想の音が存在していると思っています。
その無限の音の中から一番純粋な直感で良いと思える音を生み出して選び出せるのが理想です。
現場での微調整
Halo at 四畳半の楽曲は、使う音色が多く、各現場であまり変化が生じないようにするため、できる限り足元のエフェクターで音色を完結できるようにしています。
音を完結させることで現場でも、その日のアンプの調子や鳴らす場所に合わせて歪みの具合や音量差、空間系の掛かり方などを足元の微調整のみで対応できるようにしています。
ライブならではの音作り
ライブでは音のメリハリを意識しています。
その場で調整することが難しい分、どうしても音源よりも細かい楽曲の表現が難しくなってしまうので、音量差や歪み量の設定で音の表情が大きく変わる様にし、わかりやすい音の変化を聴いてもらえる様にしています。

音楽性・ルーツ編
ルーツと始まり
中学生の時にBUMP OF CHICKENのライブ映像を見てギターを始めました。
ギターを始めてから、ずっとBUMP OF CHICKENの楽曲をコピーしていたので、自身の音楽観にとても大きな影響を与えられました。
Halo at 四畳半のギタリストになった今でも、コード感やフレーズ感は今でも自分のギタリストの原点であり、基本になっています。
齋木孝平のこれから
ギターを始めてから今まで誰かに教わったりしたことがなく、ほぼ独学でギターを学んできました。
その分、他のプレイヤーから刺激を受けることが多々あり、自分にないものや今まで選んでこなかったものを柔軟に取り込み、自分のプレイに昇華させていける様になれたらなと思っています。

ライブ写真提供 佐藤 広理
以上インタビュー。
1つの音にこだわるのではなく、1曲・1フレーズに命を吹き込むためにギター・エフェクター・アンプ、その1つ1つが作り込まれたシステムを使用している斎木さん。
「エフェクター=1つのサウンド」という考えではなく、「エフェクター×エフェクター=無限の可能性」という音作りのスタイルは、この記事を読むバンドマンやギタリストに大きな可能性を与えるスタイルだと思います。
音作りにこだわりを持たないという方がいますが、齋木さんのように音作りへの向き合い方1つで楽曲・フレーズ・表現力、全てが格段に上がるのではないでしょうか?
1月29日に『ANATOMIES』をリリースしたHalo at 四畳半だけでなく、1ギタリストとしての齋木さんの今後にも目が離せませんね!

-Profile-
齋木 孝平 千葉出身 O型 1993年8月21日生まれ
中学時代にBUMP OF CHICKENと出会い、ギターを始める。
千葉県立佐倉高等学校を卒業後、早稲田大学商学部へ進学する。
Vo.Gtの渡井翔汰と共に作曲を務める。


2009年1月に渡井翔汰(Vo.Gt)と白井將人(Ba)が高校時代、同級生と共に前身バンドを結成する。
その後、同じ高校の後輩であった齋木孝平(Gt.)と、近くの高校に通い、同じスタジオで出会った一つ年上の片山僚(Dr.)が加入し、現在のHalo at 四畳半が結成される。
バンド名は、想像の域を遥かに超えた”Halo(=銀河の外側を取り巻く球場の領域)"と生々しさや現実を象徴する"四畳半"という2つの存在の間に位置するバンドであることを示している。
TVドラマでのタイアップやRUSH BALLやネコフェスなどの様々な名の知れたフェスに出演するなど、幅広い世代から支持されている。
2020年1月29日に2ndフルアルバム『ANATOMIES』をリリースし、全国ワンマンツアーが決まっている。